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セリスが背中のハンマーをちらつかせる。オーヴィルは従うしかなかった。
「飛ぶところは見ていくのか?」
「わたしも忙しい。見ずに出ていくかもしれないな」
成功にしろ失敗にしろ大きなニュースになる。見なくても結果は分かる。
「すまないな。何か礼が出来れば良いんだが」
「気にするな。わたしが好きでやったことだ」
「若い職人の良い男でも紹介しようか?」
レベッカの例もあるのでオーヴィルは冗談半分にそう言った。
「いや、わたしはもう婚約している」
セリスが胸から銀の弾丸を取り出す。オーヴィルが茶化すように口笛をふく。
「何だ、唾付きか。いいのか?旦那ほっといてこんなおっさんと一つ屋根の下に居て」
「そんなことを気にする奴じゃない。それに、お前がもしそんなつもりだったのならもうこの世に居ない」
セリスは男運は悪いが人を見る目は多少ある。オーヴィルが自分に邪な気持ちを抱いてないと分かるくらいには。
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