飛翔の町

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ライはフロウがいる可能性を頭の角に置いていた。 リースの話からあちこちを移動していることは分かっていた。 もしフリカ帝国が国交断絶した時にロッパに居なかったのならライと同じくメリカから帰るしかない。 とは言っても関わってくるとは思っていなかったが。 フロウは基本的に逃げることが得意な人間だ。だからあまり人を頼らない。 頼るのは、逃げられない時だけ。 「サンダーバード後輩。僕を助けてくれないかい?」 フロウは薄ら笑いを浮かべながらそう言う。タリアと同じように。 きっと断ったとしてもフロウはそれを実行するのだろう。 失敗を恐れず、まず試してみるという研究者の性。 「先輩に振り回されるのが、後輩の務めだよ」 だからライは引き受ける。フロウの強さも、弱さも全て知っているから。 「君ならそう言ってくれると思ってたよ」 フロウは再び笑みを浮かべた。変わらない距離感。学校に居た時と何も変わっていない。
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