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そのハンマーを空振り。いつの間にかフロウは肩車されるようにセリスの肩に乗っていた。
「僕は君には捕まらない。君は僕の術中に嵌まってる」
「……精神系の魔法使いか」
「違うよ。言っても信じてくれないだろうけどね」
よっと掛け声をしてフロウがセリスの肩から降りた。
忘れがちだがフロウは優秀な魔法使いが多いランスで世界政府に引き抜かれた人間。
この距離でフロウを捉えられる人間は極僅か。『鬼』とはいえ先日まで一般人だったセリスが捕まえられるほど甘くはない。
「とりあえず、話を聞いてくれるかな?セリスちゃんにも悪い話じゃないんだ」
「……一応、聞く」
セリスは警戒しながら聞く。この場はこうしないと話が進まないと悟った。
「単刀直入に言うよ。オーヴィル・カロスを見捨てて今すぐ関係を断ってくれればいい。無関係な人間と主張すれば、罪に問われることはない」
「………嫌だ」
「何故?君とオーヴィルはついこの間に会ったばかり。言うなればただの他人だ。どうしてそこまで固執するんだい?」
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