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上でそんなことになっているとは知らず、セリスとオーヴィルは急ピッチで作業していた。
「セリス。逃げてもいいんだぞ?」
オーヴィルは無言で作業を続けるセリスにそう告げた。
「巻き込んではしまったが、お前までこの件で罪に問われる必要はない。お前さんの仲間にも、無理をさせる必要はないんだ」
「………それは、遠回しにわたしが邪魔だと言っているのか?」
「そうではないが、しかし」
「ならやらせろ。こんなことは慣れっこだ」
オーヴィルはセリスがどんな世界に生きてきたかは知らない。だが、その言葉にはどこか重みがあった。
「何故オレの為にそこまでやってくれる?」
「こういうことが好きだから、じゃ理由にならないか?」
「ならん。『飛行機』は既に完成している。死の危険がある中、発進準備段階で興奮するなど余程の狂人だ」
リスクリターンの計算が出来ない程、セリスの頭は悪くない。
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