続・飛翔の町

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セリスは鋼の意志を持つ。それ故に他人の意見に左右されることがない。 それがセリスの強みであり、心の闇でもある。 周囲に敵を作り、反対されても貫き通せてしまう。 「復讐は、成功したのか?」 「ああ。満足感が凄かった」 セリスは一呼吸置いて、続けた。 「それ以上に変わった自分を改めて見て吐き気を覚えたがな」 そう。セリスには常識は通じるのだ。 復讐を成し遂げてしまった異常な人物の異常な性格に、嫌悪を示した。 「わたしは、わたしが嫌いだ」 だからセリスはテトラを嫌悪する。嫌悪しているセリスを好きだと言うから。 だからセリスはバイパーを言うほど嫌っていない。嫌いなセリスを嫌いと言ってくれるから。 そしてもう、引き返すことは出来ないのだ。一度こうと決めた鋼は、そう簡単には変形しない。 「興味深い話だが、その話と今の状況、何の関係がある?」 「分からなかったか?」 セリスは相変わらず作業を続けながら答えた。 「わたしはやらないで後悔したくないだけだ」
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