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フロウも得物を取り出す。安物のバタフライナイフ。
「そんなものでオレを殺そうとした奴はお前が初めてだ」
「だろうね」
「始める前に一つ聞いておきたい。何故オレだ?オレを殺したところで世界は何も変わらんぞ」
「変わるさ。あと一年後くらいにはね。その時に、君が居ると困る人が何人かいるから」
話は終わりだと言うようにフロウはバタフライナイフの刃先をシモンに向ける。
その行為にシモンは心の中で失笑した。覚悟はあっても所詮ド素人だと。
あの構えはバタフライナイフを突きに使う気だ。だが、バタフライナイフは性質上突きには向かない。
折り畳み式であるが故に造りが脆く壊れやすい。下手をすれば勝手に閉じて自身の指を落とす可能性すらある。
そうしてシモンは落胆し、安堵し、拍子抜けし、油断した。
いつもなら気を張るところを気を抜いて。牽制程度にサブマシンガンの弾丸をフロウに向けて連射した。
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