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その弾丸はフロウに直撃する。しかし、手応えがない。
瞬間、ゾクッと。シモンの背筋に氷の様に冷たい感覚が走った。
それはただの勘。または経験則。それがシモンの身体を前に倒れさせた。
ヒュン、と刃物が空気を切る音。いつの間にか真横に居たフロウのバタフライナイフがシモンの頸動脈を狙う。
咄嗟の判断が良かった為に、その攻撃はシモンを掠めるだけに終わる。
フロウによる駆け引きにまんまと嵌められた。良く考えれば当たり前なのだ。
戦う覚悟を決めたとはいえ、フロウが正々堂々と正面から挑んでくるわけがない。
しかし、これはシモンにとってチャンスでもある。前に倒れながらサブマシンガンを腋から後ろに向けノールックで発砲。
「うっ……!」
フロウから小さな悲鳴。起き上がり再び見た時はフロウの姿は無かったが、血痕だけは残っていた。
バタフライナイフは実体。それがシモンに当たった。実体を持てるのはフロウの本体だけなので攻撃の瞬間のみは本物のフロウがそこにいることになる。
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