46125人が本棚に入れています
本棚に追加
言葉も交わさず二人は寡黙に戦闘を行う。
かたや銃と経験則。卓越した技術と長年の勘で相手を仕留めにかかる。
かたや魔法と駆け引き。騙しの魔法を絶好のタイミングで仕掛け嵌める。
フロウのバタフライナイフも、シモンのサブマシンガンも、徐々に深く当たり始める。
ナイフがシモンの肉を斬り鮮血を散らせば、銃が鉛玉を吐き出しフロウの身体に穴を開けていく。
双方動きが鈍くなってくる。しかし、致命傷には至らない。
途中からシモンは血痕の跡を追い出す。一発フロウは食らうも次にそれを利用して嵌める。シモンの腕に深い切り傷がつけられた。
シモンには解せないことがいくつかあった。フロウが、命をかけてまでこんなことをする意味があるのかと。
しかし、もうそんなことはどうでも良い。あるのは、ただ一つの愉悦だけ。
シモンは多くの人間を殺してきた。それには軍の為、国の為と理由をつけることは出来る。
だが、そんなのは建前だ。シモンはただ欲しかっただけだ。正当に人を殺す理由が。
最初のコメントを投稿しよう!