続・飛翔の町

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言葉も交わさず二人は寡黙に戦闘を行う。 かたや銃と経験則。卓越した技術と長年の勘で相手を仕留めにかかる。 かたや魔法と駆け引き。騙しの魔法を絶好のタイミングで仕掛け嵌める。 フロウのバタフライナイフも、シモンのサブマシンガンも、徐々に深く当たり始める。 ナイフがシモンの肉を斬り鮮血を散らせば、銃が鉛玉を吐き出しフロウの身体に穴を開けていく。 双方動きが鈍くなってくる。しかし、致命傷には至らない。 途中からシモンは血痕の跡を追い出す。一発フロウは食らうも次にそれを利用して嵌める。シモンの腕に深い切り傷がつけられた。 シモンには解せないことがいくつかあった。フロウが、命をかけてまでこんなことをする意味があるのかと。 しかし、もうそんなことはどうでも良い。あるのは、ただ一つの愉悦だけ。 シモンは多くの人間を殺してきた。それには軍の為、国の為と理由をつけることは出来る。 だが、そんなのは建前だ。シモンはただ欲しかっただけだ。正当に人を殺す理由が。
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