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長身を生かしシモンの視界から外れた場所から振ってくる一撃。
しかし、長身が故にシモンの元に届くまでに僅かな時間があった。
そう、シモンが頭上で腕を交差できるくらいには。
状況は捨てる腕が左腕に確定したくらいのこと。多少威力は増すが腕を切り落とすことはフロウの細腕では不可能。
シモンは甘んじてその一撃を腕で受けた。受けた瞬間、勝敗は決した。
「………苦節、五十年」
「…………」
「オレをここまで追い詰めたのはお前が初めてだった」
突如、シモンが語り始める。もう戦いは終わったのだ。
「戦いは最初の一手が肝心。これはオレが長年感じていたことだが、この歳でそれを痛感させられるとはな。クソ女、いやフロウ・スターナリア」
シモンがニヤッと笑う。
「貴様の勝ちだ」
シモンが交差した両腕には、フロウが最初からバタフライナイフに見せ掛けていたサバイバルナイフが突き刺さっていた。
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