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布石。そう、最初の一手から嵌められていた。
バタフライナイフで突くという素人を装って斬りつけるという作戦。
その策のせいで、あれはバタフライナイフだとシモンは勝手に決め付けていた。
そして最後の一手。フロウがシモンの視界から外れるように攻撃を行ったのもこの為。
流石に二度もバタフライナイフで突きの動作を取られたら怪しむ。
「見事だ。この『銃王』を良く制した」
「……過大評価だよ。これが君の領域だったなら、僕は確実に負けていた」
これがもしシモンの専門距離だったのであれば、フロウは手も足も出なかっただろう。
「君は、運が悪かっただけさ」
「運が悪かった、か。ハハハ!」
数多くの戦友を亡くしてきたシモン。その度にあいつは運が悪かったと言い聞かせてきた。
よもや自分の死因がそれになるとは、一周回って笑えてくる。
フロウがシモンの腕からナイフを引き抜いた。ドバッと血が溢れ出す。
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