続・飛翔の町

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「ぐぅ……!」 悲鳴を押し殺すシモン。フロウは苦しみが無いように即座に延髄にナイフを降り下ろした。 シモンはそのまま死んだ。伝説の軍人が、ただの白衣の素人に殺された。 フロウは平静を装っていたが、直ぐに膝が折れた。 ダメージが溜まっていたわけではない。確かに軽くない怪我を負ったが、魔法で応急処置はしてるので歩けない程でもない。 フロウは、吐いた。緊張で物をしばらく食べていなかったので胃液を吐き出す。 喉が焼けた様な痛み。そしてフロウの手に残る人肉を切る感触。 人を殺すということ。それは人として生まれたフロウにとっては種の存続という観点から見て矛盾した行動であり― いや、難しいことを考えずにただ、気持ち悪い。 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。 暫く、フロウはその場を動くことが出来なかった。
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