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そう言ったライは少し離れた場所に移動する。そして目を瞑って集中し始めた。
「んぎぎぎぎ……」
歯を食い縛る。ふわっとライの回りの土埃が舞う。強大な魔力の奔流。その方向性は螺旋。
「『竜巻』ィィ!!!」
以前イセンで放ったものよりも巨大。且つ強力な竜巻がその場の物体を飲み込み始める。
このタイミングでの竜巻の発生。不可解に思われるかもしれないが、メリカ民国は『竜巻大国』と呼ばれる程竜巻の発生数が多い。
ここに『風の異端強者』にしてジア皇国の皇族となったラインハルトがいる可能性よりはずっと高い。
これで暫く足止めはきくだろう。だが、
「あー、しんど」
ライの魔力はほとんど無くなっていた。
ライは魔力コントロールが上手い。それは扱いにくい『風』を操るのには必要不可欠な技術。
細かいコントロールが利くからこそ、接近戦に応用出来る。
その対価、いや代償として、規模の大きな魔法をライは苦手としている。魔法一発でガス欠になるくらいに。
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