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フロウは一応中身を確認する。それは『永眠計画』の資料よりも惹かれなかったのだが。
しかし、その予想に反してその資料はフロウの気を惹いた。
そう。『永眠計画』を知った時でさえ鼻で笑っていたフロウが、身体をガタガタ震わせ顔を青ざめさせるくらいには。
「馬鹿な……こんなことが、許されるわけが―!」
フロウは持っていた資料を落とした。立ちくらみがする。
いや、立ちくらみなどしている場合ではない。この事実をライに、ハルカに、いや誰かこれを伝えなければ。
世界が終わる。
ドスッ
フロウがそう思った時、鈍い音とともに身体が勝手に一歩前に進んだ。
何事かとフロウは自分の身体を確認する。
首。しっかり回る。
腕。問題なく動く。
足。地を掴んでいる。
腹。
「あれ?」
腹。
「……おかしいな」
腹。
「僕って、三本も腕あったっけ……?」
腹。血に汚れた腕が、生えている。否、貫かれている。
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