続・飛翔の町

83/93
前へ
/1704ページ
次へ
フロウは一応中身を確認する。それは『永眠計画』の資料よりも惹かれなかったのだが。 しかし、その予想に反してその資料はフロウの気を惹いた。 そう。『永眠計画』を知った時でさえ鼻で笑っていたフロウが、身体をガタガタ震わせ顔を青ざめさせるくらいには。 「馬鹿な……こんなことが、許されるわけが―!」 フロウは持っていた資料を落とした。立ちくらみがする。 いや、立ちくらみなどしている場合ではない。この事実をライに、ハルカに、いや誰かこれを伝えなければ。 世界が終わる。 ドスッ フロウがそう思った時、鈍い音とともに身体が勝手に一歩前に進んだ。 何事かとフロウは自分の身体を確認する。 首。しっかり回る。 腕。問題なく動く。 足。地を掴んでいる。 腹。 「あれ?」 腹。 「……おかしいな」 腹。 「僕って、三本も腕あったっけ……?」 腹。血に汚れた腕が、生えている。否、貫かれている。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加