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「おーおー、心臓狙ったのに腸の方いっちゃったよ。やっぱでけぇな、フロウ・スターナリア」
フロウがゆっくりと首を回す。そこには知った顔があった。
「スロッド・ラーン……!」
「うわ、好奇心のあるものしか覚えねぇと言ってたお前がオレの名前覚えてんのかよ。気持ちわりぃからやめてくれや」
スロッド・ラーン。フロウが変人の研究者とするならスロッドは狂人の研究者。
研究内容もフロウとウマが合わず一緒に活動したことも無かった。
「それにしても駄目だぜ、フロウちゃん。いくら消耗してるからといって魔法サボっちゃ。お?それともこれも幻なのかな?」
スロッドは分かっていて聞いている。『感覚封じ』の異名を持つフロウでも限界はある。
貫かれている光景。漂う血の匂い。肉の触感。三つ全てを再現することなど出来ない。
これは、紛れもない現実。
「君が、何故ここに……」
「どぅーでもいいだろうがよぉーんなこたぁ。言ったところで何かあんのかって!」
今度こそ、スロッドの腕は心臓を貫きフロウは力無くその場に倒れた。
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