飛翔の町

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ニーナが怪しく囁いたが、チフユは気にも止めなかった。 めんどくさいので本当はミナツに変わってやりたいのだが、人前で変わるなと二人に念を押されている。 ニーナが離れる気がない以上、適当にチフユが相手するしかない。 「その刀はパング刀?チフユちゃんは剣士なの?」 「これはオレの妹のだ」 「妹がいるの?どんな娘?」 「ふん。どうせそのクソビッチの妹だクソビッチに決まって―」 「おい、顔面肥溜め」 チフユの声色が変わる。殺しを愉悦と演じていた頃のチフユの声に。 「てめえが何処の誰かなんざ知ったことじゃねぇが、今度ミナツのこと馬鹿にしやがったら腹に風穴あけて臓物引っ張り出してこの場にブチまけるぞ……!」 「……ふん、威勢だけは良いようだな」 「いや、それおじいちゃんだから。膝ガックガクじゃん」 顔を青くしながら身体を震わせるシモン。ただ表情だけは変わってない。ある意味驚嘆に値する。
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