飛翔の町

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「何いたいけな老人を苛めてるんだ、お前は」 その様子を遠くで見ていたのかセリスが細長い物を担いで戻ってきた。 「それは!取り返してくれたの!?」 ニーナがベンチから立ち上がってセリスに駆け寄る。 「そっちの老人のではないのか?かなりの年季物だったが」 「わたしが貰ったの」 長物からニーナの視線がセリスに動く。何か値をつけるような目だった。 「じゃあとりあえずこれを返すぞ」 「ありがとー」 セリスから長物を受け取り、セリスの手をつかみとった。 「このお礼は必ずするね。近いうちにご飯でも」 「本当か?なら是非お願いする」 ニーナからの誘いをセリスは快く承諾した。その様子にチフユはムッとした。 「セリスー」 だからチフユはセリスに抱き付く。わざわざ背後に回ってまで。 「おい、止めろ。人前で堂々と抱き付くな」 「いいだろー、減るもんじゃねぇし」 「頬をすりよせるな。止めろ」 「マーキングだよ、マーキング。セリスがどっか行かないように」
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