飛翔の町

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セリスは至極嫌そうな顔をしていたが、諦めているので振りほどこうとはしなかった。 「あはは……セリスちゃん?も嫌がってるみたいだし離れたら?」 「嫌だ」 ニーナが苦笑いしながら言うがチフユは聞き耳を持たない。 「ライはどこ行った?」 「ライならセリス追っかけてたけど会ってねぇのか?」 「入れ違いになったのか。運が悪いな」 セリスは舌打ちする。とても女性がする仕草には見えない。 「これだからクソビッチは……」 それを見てシモンはそう呟いた。セリスは聞こえてはいたが相手するのが面倒なので無視した。 「チフユ。わたしはちょっと野暮用ができた。宿は取ったからライが帰ってきたらそこに行くようにしてくれ」 「えー、オレも行きたい」 「こいつもビッチの胸をしてるな」 「我が儘言うな。お前が居なくなったらライが困るだろう」 「……ったく仕方ねぇな。そのかわり今日の夜覚悟しとけよ」
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