飛翔の町

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受け身も取れずにそのまま背中から落下するシモン。白目を剥いて陸に打ち上げられた魚のようにピクピクと身体を震わせている。 「じゃあ行ってくる。夕飯までには帰るつもりだ」 「おう、分かった。はいこれ」 セリスは何事も無かったようにチフユからハンマーを受け取り去っていった。 再びベンチにどかっと座るチフユ。ニーナもシモンの生死だけ確認して隣に座った。 「生きてんのか?」 「何とかね。それにしてもあの娘、凄いね」 どういう意味なのかは知らない。 「まだ優しい方だろ」 「あれで!?」 「本気でキレてたら一発じゃ済まないからな」 欠伸をしながらそう答えるチフユ。ニーナは呆然としていた。 「良く付き合ってられますね」 「逆鱗に触れなきゃ面倒見のいい奴なんだよ。小さいし、柔らかいし、夜に抱いて寝ると最高に気持ちいいぜ」 「だ、抱いて?」 「どうかしたか?」 ニーナは少し興奮したように聞く。 「チ、チフユちゃんはそういう趣味?」 「わかんねぇけど夜は良く抱くな。すっぽり収まるし」
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