飛翔の町

29/67
前へ
/1704ページ
次へ
「どうしたの?」 つい、勢いでミナツは変わってしまった。チフユは駄々をこねているので出す訳にはいかない。 二重人格だと知られれば面倒臭いことになる。ミナツはチフユを演じることにした。 「別に何でもないぜ。ちょっと気に触ることがあっただけだぜ」 「何か語尾可笑しくない?本当にどうかしたの?」 早くもニーナは怪訝な目を浮かべている。ミナツはこういうことが苦手だ。 そんな時、救いの手が現れた。 「すまん、遅くなった」 ライが帰ってきた。『異端強者』としての感覚でチフユではなくミナツだとすぐに気付く。 「貴方は?」 「こいつの、まぁ保護者だ」 ニーナの問いに答えつつライはミナツと肩を組んで後ろを向く。 そしてボソボソとニーナに聞こえないように耳元で話しかけた。 「何でナツになってんだ?」 「バカ姉が暴走しかけた。つい変わった。すまん」 「いや、いい判断だ」
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加