飛翔の町

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* チフユと別れたセリスは待ち合わせていた場所に向かった。 「待たせたか?」 「いや、別にそこまで待ってない」 待っていた男。オーヴィル・カロスは男臭い笑みを浮かべた。 『鬼族』ではなさそうだがかなりの長身。標準より低い身長のセリスが隣に並ぶと余計高く見える。 「それにしても」 「何だ?」 「これだけちいせぇとまるで娘みたいだな!」 ガハハハハと大声で笑いながらガシガシと無骨にセリスの頭を撫でるオーヴィル。 いつもなら払いのけるのだが、セリスはこういう人間は苦手だった。 まだ駆け出しの頃、セリスを鍛えてくれた鍛冶屋の親父に似ているから。 今回急に頼まれて断れなかったこともそれが大きい。 「早く研究とやらを見に行くぞ。わたしも暇じゃない」 「何だ、照れてんのか?」 「五月蝿い」 「おー、怖い怖い」 本心なのかどうかは知らないが、オーヴィルはそそくさと歩き始めた。
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