飛翔の町

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「何故わたしに声をかけた?」 移動している間、話題がないのも味気ないのでセリスが振ってみる。 「まず嬢ちゃんがそっち系統に詳しそうだったからな。ライフルを見る目を見て確信した」 「……どうも」 「照れるなって」 「五月蝿い、続けろ」 茶化すオーヴィルをセリスは威嚇する。 「次に嬢ちゃんが他所者で口が固そう、ってのもある」 「随分と主観的な理由で誘ったな。もしわたしが世界政府の人間だったらどうする気だ」 「その時はその時だ。運が悪かったと甘んじて罪を受け入れてた」 逆に言えば、そんな賭けに出なければいけない程オーヴィルは切羽詰まってるということ。 ついたのはオーヴィルの家。町外れにあり多少大きい石造りの家だが特に変わったところはない。 「こっちだ」 オーヴィルに赴かれるままセリスは家の中に入る。中は工房だった。 何をメインに作っているかは知らないが、そこの空気はセリスを不思議と安心させた。
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