飛翔の町

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「そうだね。なら互いに聞きたいことを聞いていくってことでどうかな?」 「オレはあんまねぇぞ」 「その場合はパスってことでいいさ。僕からいいかな?」 コクリとチフユは頷く。 「君はハーフかい?髪も瞳も茶色だけど」 「ハーフと言えばハーフだ。母親の出身地はよく知らない」 チフユが生まれた時に死に、リューイチからは何も聞いていない。 リューイチは『鬼族』でないので母親はそうなのだろう。もしかしたらパング出身かもしれない。 「お前は?」 「僕?僕はどっちもロッパの血だよ」 フロウは笑いながら答える。 「何が可笑しい?」 「いや、人をはねのけるような雰囲気出してる割には、案外普通に話せるじゃないか」 「……一言余計だ」 「それは失礼。じゃあ次は僕の番だね。好きな食べ物は何?」 「蜂蜜」 フロウがチフユにする質問は全て当たり障りのないものだった。 気が荒いチフユを一切不快な気分にさせることなく、時折冗談も混ぜる。
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