飛翔の町

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「どういう意味だ?」 出来るだけ凄まずに、優しい声を意識して聞き返す。 「さっきまでの質問の回答から君を分析してたんだけど、そうとしか考えられないね」 「だから何でだ」 「君は抱かれてもいい、と言ってるけど実はそうじゃない。抱かれたかったのさ」 「…………」 「君は好奇心が強いからね。知らないことを知りたがる。性交渉もその一つだったんだろう」 剥がされていく。仮面が。チフユの心が裸にされていく。 「同時に主導権を握られたくないって言うのも君の中に存在してる。その二つが喧嘩してるのさ」 確かに野性が強いチフユは人に無防備なところを見せたことがない。 押し倒された時、偶々『弱点』である舌を責められてチフユは動揺した。 未知の感覚に。自分の身体がライに支配されてしまうような感覚に。心さえ変えられてしまいそうな感覚に。 チフユは、恐怖した。まるでただの女の子のように。
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