飛翔の町

53/67
前へ
/1704ページ
次へ
「残念ながら僕にそっちの才能は無かったみたいだからね。身の程はわきまえるよ」 「先輩は、死なないよな?」 ライはフロウから感じ取った気配からそんなことを聞いていた。 「死なないよ。まだ、死にたくはないからね」 フロウはうっすらと笑う。ライはほっと息をついた。 「でも、君よりは早く死ぬよ」 そしてフロウは冷酷に告げる。 「僕の方が年上だし、身体に悪いことは沢山してるからね。長生きはしない。サンダーバード後輩がコロッと死なない限り僕の方が早く死ぬ」 「……不吉なこというなよ」 「事実だよ」 フロウはライの目を見る。ライは目を反らした。 「サンダーバード後輩。いや、ライくん。人は、死ぬんだよ」 「……知ってるよ」 「君は知っているだけだ。理解はしていない」 フロウは肩をポンと叩いて背中を向けて去る。 「あまり現実から目を背けないようにね。逃げた分だけ、心は壊れていくよ」
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加