飛翔の町

59/67
前へ
/1704ページ
次へ
「昨日、だと?」 言葉は冷静だが身体がガタガタ震えている。いらないトラウマを呼び起こしてしまったらしい。 「あんたこんなところで何やってんだ?」 急いで話を逸らす。 「無論、孫を見張っているに決まっている」 「あんた本当に伝説の軍人か?」 「お前も子供が生まれたら分かる」 情けない伝説の姿を見てため息をつくライだったが、これは良い傾向だ。 ニーナとシモンの動向さえ確保しておけばフロウが動きやすくなる。万が一、フロウがヘマをして見付かったとしても即座にフォローに回れる。 ライは自然にシモンの隣に居座る。 「どういうつもりだ?」 「オレもナツが心配なだけだ。伝説の軍人様が一緒なら頼りになるしな」 「…………ふん」 シモンは文句は何も言わなかった。基本的に男には寛容であるらしい。 こうして互いが互いを見張り合うという状況が完成した。 端から見ればライ達は不審者にしか見えないが、シモンは世界政府の人間だから大丈夫だろうとそれは諦めた。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加