飛翔の町

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それは最近嗅いだ匂い。火薬と硝煙の匂い。 「じじい、あんた軍人か?」 「ほう……」 老人の目付きが鋭いものに変わる。 「いけすかない男にホイホイついていってるアバズレクソビッチかと思えば中々に鋭いじゃないか」 「ドタマかち割んぞ」 急に口が悪くなった老人。チフユの堪忍袋はギリギリ耐えた。 「元軍人だ。今は孫娘と一緒に旅行中だ」 「そーかよ。そんな奴が物取られちゃ世話ねぇな、クソジジイ」 「戦場じゃあ精々慰みものぐらいにしか使えなさそうな奴に言われたくないな、無駄胸ドブス」 「………………」 チフユは何も言い返さなかった。ただ、実行していた。 ジア皇国であの屈強なアレキサンドやエメレイドを屈服させていたツバキの奥義。『人体サッカー』を。 メキッ…… 爪先を伸ばし抉りこむように蹴るべし。ツバキの教えを全うする。爪先に嫌な感触が伝わる。その感触から、 「しまった。『サッカー』じゃなく『丸太折り』になった」
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