銃王姫と二丁拳銃

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綺麗な当たり方ではない。掠めると言った方が適切かもしれない。 しかし、当たったのだ。何の知識も経験もないド素人が離れた的に当ててみせた。 センスがズバ抜けているとしか言い様がない。シモンの胸が高揚する。 「……案外、当たらないものですね」 しかもリースは満足していない。完全を求める。向上心が高い。 「ふはははははは!」 シモンは、不思議と笑いが込み上げてきた。埋もれている宝石の原石を見つけたように。 「リース!ますます気に入った!オレの休暇の残りを全てお前にくれてやる!」 「……意味が分かりません」 怪訝な目を向けるリース。 「今から一年。この『銃王』シモン・ヘイホーがお前を一人前の戦士にしてやる!」 「……あの」 「気にするな!お前のその才能があれば、一年あれば十分おつりがくる!この伝説の軍人を師匠と呼ぶがいい!」 シモンは高らかに宣言する。リースは申し訳なさそうに言った。 「あの、わたしシモンって名前も『銃王』って名前も知らないんですけど」
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