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ハルカが握り拳を作る。イリカとグレイは身を震わせた。
「ハ、ハル。こっちに向かっている軍の指揮官は?情報はあるのか?」
グレイは話を逸らした。
「パルト・ボレオン将軍。ランス出身の勇将よ。ついでに言えば貴族」
「貴族か……。ランスってことはライと面識あるかもな」
「十中八九覚えてないでしょうね。ライは別に当主でも何でもないし」
ハルカは鼻で笑った。気にも止めてなかった人間が今、牙を向けようとしているのは皮肉な話だ。
「実力はあるのか?」
「それなりにね。でも、典型的な『貴族』らしいわ」
「ああ……」
ハルカの言う典型的な貴族とはプライドの高い貴族のこと。
貴族であることに誇りを持ち、軍を統率して動かすことが出来る反面、泥臭い作戦を嫌う。
「で、こっちは泥臭いことが得意な庶民とマフィア。相手さんの腸煮えまくってんじゃねぇか?」
「それだと、動きやすいですし助かります」
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