反抗軍への帰還

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* 結局パルトは送られた暗号の意味が分からぬままイセンの近くまで辿り着いていた。 天候は小雨。視界は悪いが、行軍を止める程ではない。 「そろそろ町が見える頃か……」 パルトの目的は偵察。敵戦力が存在するかどうかの把握。並びにその脅威の殲滅。 パルトとしてはこの苛立ちを何処かにぶつけたかったので居てくれと心の奥深くで思っていた。 そして、その心を自覚したのは町を視認した時だった。 「しょ、将軍!あれを!」 部下の一人が指を差す。そこには、イセンの町が見えた。 しかし、その町の見え方が異常である。視界が悪いはずなのにそこだけはっきり見える。 町の上空は小雨が霧となり巨大な自然のスクリーンと化していた。 そこに光を当てられ写し出されていたのは、十字架。 御丁寧に『パルト・ボレオン』という名前まであり、今日の日付まで記されていた。 これは、墓標。そう理解した時、パルトのこめかみに青筋が浮かんだ。
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