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「切れました」
通信機から口を離すとイリカは一息ついた。
これならイセンにあの程度の軍ならば数で押し潰せるだけの戦力があることも悟られてはいまい。
相手方としても負けるとは夢にも思っていないだろう。そういう軍は、流れが傾くと脆い。
「相手の戦略は?」
「騎兵が突っ込んで来ます」
「予想通りだな」
魔車がある現代であれど戦闘方法はそう変わらない。
魔車自体量産出来る程簡単な作りをしていないし、イセンの周りはそれが自由に走れる程優しい地形はしていない。
故にイセンを平押しで攻めるなら騎兵が基本。
「魔法隊、『魔弾』一斉掃射の準備。『罠』を越えてきた敵のみを狙え」
『了解』
グレイが短い通信を終えるとイリカがちょんちょんと小突いた。
「どうした?」
「ハルさん、大丈夫でしょうか?」
イリカが指を差す先には、『水』を使った後ぐったりしているハルカが居た。
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