反抗軍への帰還

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この辺りの地面の質は悪い。故に地面は硬く掘りにくい。 しかし、この落とし穴の精度はかなり良い。パッと見たところ周りに掘られた形跡が見当たらないのだ。 まるでその部分の土が消失したかのように。 パルトが軍を出してイセンに向かっているという情報をいつ掴まれたのかは分からない。 だが、例え軍を出したと同時に準備し始めたとしても、とてもじゃないが間に合う量と精度ではない。 敵は、時を越えるというのか。 有り得ないことだと思っていたが故に『落とし穴』は実に効果的だった。 底には何もないが落ちるだけで騎兵には死が待っている。 人体の数倍もある馬に押し潰されることは勿論、それを避けようとして落馬しても命に関わる。 それが後ろにも負の連鎖をうむ。止まりきれずに穴に落ちて行く騎兵。落馬した兵士を馬が蹴り殺し、引っ掛かり転倒。 運良く落とし穴に逃れた兵も大量の『魔弾』が狙い撃ち。 降りて逃げようにもパニックになった騎手の居ない馬がその兵をも轢き殺す。 最早馬が敵と化していた。
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