反抗軍への帰還

34/45
前へ
/1704ページ
次へ
どちらにせよこれでは抜けられない。完全に挟まれた。そこで通信が入る。 『ほれ、意地を見せんと早よう東へ駆けてこい』 ハニバル。『将王』と呼ばれた老人の声だった。 確かに敵は北西と南から来ている。穴が大きいのは東。 それに東ははじめからハニバルが陣取ってる。罠の可能性は薄い。 「貴様、この状況になると分かっていたのか!?」 『分かってはおらん。ただ、想定内ではあった。儂は臆病故にな』 ハニバルは飄々と言い返す。その様子に歯噛みしつつもパルトは指示をした。 「全軍転進!東へ全速力で離脱せよ!撤退する!」 「将ぐ―がっ!」 近くに居た部下が悲鳴を上げる。パルトがそちらを向くと、茶髪の鬼が眼前まで迫っていた。 「ぬぁ!」 首に飛んでくる刃を自身の剣を割り込ませて止める。 しかし、力の差は覆せるものではなく叩き落とされた。 小雨で濡れた地面にパルトは無様に転がる。その様子を見た女は淡々と口を開いた。
/1704ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46125人が本棚に入れています
本棚に追加