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前にふらついたセリスをライが支える。
「大丈夫か?」
「ライ……も……無理……」
肩で息をしている。無理もない。
人を押し潰す程のマリアの魔法を何十発も飛ばしていたのだ。
当然フルスイング。いくら『鬼』とは言え、疲労する。
「マリー、ここ頼めるか?」
「当然よ。ヌシらはゆっくり休んでおくが良い」
「ありがとよ」
ライはセリスをおんぶしてそこから飛び立った。
しばらくして。
「ライ……」
息が整ったようでセリスはそう呼び掛けてきた。
「お疲れさん。調子は?」
「良くは無い」
「だろうな。まだ心臓バクバク言ってるし」
「………ライも言ってるみたいだな」
「察しろ」
セリスは汗だくで心臓の鼓動が分かる程に身体を密着させている。
ハンマーが無ければセリスは軽い。運ぶ重さは気にならない。
そしてライの指はしっかりと足に食い込んでいる。
「……お前、それが目当てで運んでるんじゃないだろうな」
「違う」
「別にいいが」
「なら内腿触っていいっすか!?」
ブレない。
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