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元気の良い返事を貰ったライは笑いながら部屋から出ていった。
外に出てから暫くして。ライはマリアを発見した。
既に雨は止み日は落ちている。薄い雲がかかった月が儚げに座っているマリアを照らしていた。
耳は生えていない。純然たる人間の姿。ライに気が付いたようでうっすらと笑みを浮かべていた。
「よう、ライよ。どうかしたかや?」
「ちょっと、世間話でもな」
ライはマリアの横に座る。
「……ハルのこと、気に食わなかったか?」
「うむ。やはり儂はヌシでなければいかんな」
「……そうか」
「やはり儂はヌシ抜きでは生きられない身体でな」
「何で言い直した。しかも微妙に違う」
かっかっかと笑うマリア。
「理由は聞かんのか?」
「聞く必要はねぇしな。マリーは204歳でも人間だし、言いたくねぇこともあるだろ」
「人間扱いされたのは久方ぶりよな。そうしてくれると有難い」
マリアは話さなければならないことなら話す。話さないということは、特に深い理由は無いのだろう。
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