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「逆だ」
ハルカの感想をライは真っ先に否定する。
「一味も二味も違う『宝華』をたった一人で、たった一年で親父は追い詰めたんだ。それだけで化け物だろ」
「……確かに」
「それに加えて親父に付き従う貴族も居る。戦ったとしたら、苦戦は必至だ」
シン、と一瞬だけ辺りが静かになる。
「……だが、現状分からんことがある」
「何だ?」
「親父の腹の内だ。今んとこ動きは無い。だが、今後の戦況で味方にも為りうる」
そこでようやくハルカは納得した。ランスを今攻めれば、ライの父親はレジスタンスを倒すべき敵だと判断する。
ライと互角以上の力を持つ相手に、その手は愚策中の愚策。
「だからオレはランスを攻めたくない。これで理由はいいか?」
「ああ。じゃあ何で何処にも攻めないか教えてくれるか?」
グレイが促すとライは指を三つ立てた。
「理由は三つ。さっき言った信用を得られること。戦いやすいこと。不足の事態に対応しやすいこと」
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