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納得したライに更に苛ついたのか再び拳が飛ぶ。綺麗に受け流す。
「なぁ、何でライは食らわないんだ?」
セリスが小声でグレイに尋ねる。
「そりゃ誰だって殴られたくはないだろ」
「わたしの拳は甘んじて受けるぞ、ライは」
「あんたの拳を……?」
グレイは『鬼族』から繰り出される拳骨を想像して冷や汗を流した。
「殴り方が下手なんだよ」
いつの間にかミナツがチフユに代わっていた。
「ミナツは?」
「頭から煙出してる」
「難し過ぎたか」
「因みにオレは全く聞いてなかった」
いつも通りである。
「フユさん、殴り方ってなんですか?」
「上手く言えねぇけど、あの殴り方だと下手すりゃハルが怪我する」
人体はそもそも殴打するのに適切な作りをしていない。
特に相手が同じ人体であるならば身体中に硬い骨がある。
故に上手いこと力を伝導させ適した打ち方をしなければ効果的なダメージを与えられず逆にダメージを負う場合がある。
ライはそれを防ぐ為にハルカを怪我させないような受け方をしている。
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