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ライが重箱を受け取るとマリアは屋根から降り何処かに行ってしまった。
暫くすると入れ違いでフロウが上がってくる。
「君達はよく簡単に屋根に登れるね」
「思ったより早かったな、先輩」
ライは多少疲れているフロウの息が整うのを待つ。
「僕の無くした記憶がどんな物か見当がついたからね。戻ってこれた」
白衣を靡かせ佇むフロウ。指を三本立ててライに告げた。
「『ミナツちゃん』、『マチュピチュラ』、『スロッド・ラーン』。僕が断片的に思い出したキーワードはこの三つだ」
「ナツ?」
「僕の影分身は世界政府の資料を二つ見たんだけど、内容までは思い出せなかった」
その二つの資料の内一つは『ミナツ』が、もう一つは『マチュピチュラ』がキーワードになっているとフロウは続けた。
「そして最後に『スロッド・ラーン』。この人間が、僕の影を一回殺した。素手で心臓を貫いてね」
「素手で……」
「気を付けなよ、サンダーバード後輩。彼をただの科学者だと思わない方がいい。ということで、報告は終了」
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