道化師の到着

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「これこれ。そう血気立つでない」 マリアが手をパンパンと叩いて意識を向けさせた。 「儂とて誇り高き『狗』の血族よ。そう簡単に身体を許したりせん」 「しかし……」 「こやつは儂がそう思える程のことを命を賭してやり遂げた。普段ふざけてはおるが、ライを攻撃することは儂が許さん」 新参者達は黙った。その様子を見てマリアは微笑みながら言う。 「ヌシらも男じゃ。男であるならば武功を示し良い男になることよ。良い男には良い女が寄ってくる。無論、儂を含めてな」 騒ぎは起きない。しかし、着実に士気は高まった。やはりマリアには上に立つ者としての才能がある。 ガルの部隊に続きイセンの隊までも掌握してしまった。 「じゃあ次回ってくるわ。ブラウ、イリカが怪我しないように頼む」 「当然です」 「また子供扱い……」 「そう落ち込むでない。後五年もすれば立派な女になるじゃろうて」 再びポンポンとイリカはマリアに頭を撫でられていた。
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