46125人が本棚に入れています
本棚に追加
「これこれ。そう血気立つでない」
マリアが手をパンパンと叩いて意識を向けさせた。
「儂とて誇り高き『狗』の血族よ。そう簡単に身体を許したりせん」
「しかし……」
「こやつは儂がそう思える程のことを命を賭してやり遂げた。普段ふざけてはおるが、ライを攻撃することは儂が許さん」
新参者達は黙った。その様子を見てマリアは微笑みながら言う。
「ヌシらも男じゃ。男であるならば武功を示し良い男になることよ。良い男には良い女が寄ってくる。無論、儂を含めてな」
騒ぎは起きない。しかし、着実に士気は高まった。やはりマリアには上に立つ者としての才能がある。
ガルの部隊に続きイセンの隊までも掌握してしまった。
「じゃあ次回ってくるわ。ブラウ、イリカが怪我しないように頼む」
「当然です」
「また子供扱い……」
「そう落ち込むでない。後五年もすれば立派な女になるじゃろうて」
再びポンポンとイリカはマリアに頭を撫でられていた。
最初のコメントを投稿しよう!