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「バドは、下級貴族を良く思ってないんだね」
「当たり前だろ。むしろ死んでも治らない病気にかかってると思ってる」
「そこは素直に馬鹿で良くない?」
フゥは苦笑した。
「後者はもっと簡単だ。オレにしろドグにしろルゥにしろ戦う理由は違う。ただオレ達には、後退する選択肢がない」
奴隷とは誰かに飼われる仕事。それに慣れると、牙が抜け落ちてしまう。
意志という強大な牙が。
だから、諦める。自分の意志で道を作るということを知らない。家畜が如く、逆らわない。
「フゥ。そのことに疑問が持てるなら、お前にはまだ牙が残っている」
「…………」
「逃げろ。オレ達のことは気にするな。反抗軍には『鬼』も『狗』もいる。『忍』を毛嫌いすることはないだろう」
「それは、バドも同じだよね?そこまで考えてるなら」
「……少し、喋りすぎたな。戻るぞ」
バドは帽子をかぶりなおして立ち上がった。話を逸らされたことにフゥは若干の不満を抱いたが、バドはすぐその答えを言った。
「オレもそろそろ、弟に会いたいんでね」
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