忍族の暗躍

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「何だ、お前は?」 「……………」 貴族の言葉にバドは答えず、ただ首をクイッと動かし奴隷に先を行くよう促す。 「答えろよ!」 貴族が再び鞭を振るった。バドの背中に直撃。服は裂け、皮膚が弾け、鮮血が舞う。 「うっ!」 しかし、悲鳴を上げたのは貴族だった。服が裂けたことでバドの身体が見えたから。 若干小柄ながらもしなやかな筋肉がバランスよくついている。 そして、細かいものから大きなものまで夥しい傷痕があった。 奴隷で綺麗な身体をしている人間は少ないが、バドのそれは明らかに異常である。 バドが振り向く。何の感情もない虚無の目がかえって貴族に恐怖を覚えさせた。 「ふ、ふん!今日はこのくらいにしといてやる」 そんな捨て台詞を吐きながら下級貴族は何処かに行ってしまった。 帽子をかぶり直し、バドは自分のグループに戻る。 「何であんな無茶をした?」 ドグが問い詰める。 「他のグループに倒れられればその分行軍が遅れる」
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