誇れ、雷鳥

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その胆力が今は少し腹立たしかった。 「……トメさんも呑気ですよね?」 「この程度の状況など何度も経験しとる。今更緊張する余裕などない」 テーブルに座っているイリカにマリアは腰を下ろす。 「トメさん。次の戦いでは、ほぼ確実にマークされています」 「分かっておる」 「『将王』がどう考えるかは読めませんが、わたしならトメさんの『排除』を優先して動きます」 「ほう……」 マリアが少しだけ眉を潜めた。 「当日はアドリブが多くなるので細かい指示は出せませんが、それだけは覚えておいて下さい」 「承知した。じゃが儂はあくまでも『ライ』の協力者よ。ことによっては『レジスタンス』の作戦を無視する。気を付けることよ」 再びかっかっと笑うマリアにイリカは溜め息をついた。 「構いません。何言ったところで聞かないでしょうし」 「うむ。賢い童は嫌いでない」 「だからわたしはもう童じゃありません」
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