誇れ、雷鳥

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それに、とチフユは続ける。 「ハルとライがお前に任せてんだ。なら、信用するしかないじゃねぇか」 無垢な瞳。イリカが失敗するなど微塵も考えていない。 チフユからハルカとライへの信頼度が吃驚するくらい高いからだろう。 しかし、それでも。イリカに対する信頼じゃないにしても、純粋に嬉しかった。 「お、やっと笑ったな?」 いつのまにかイリカは笑っていた。気を張っていたのがチフユの言葉で緩んだらしい。 「チフユさんは、優しいですね」 「おうよ、子供限定でな!なんならフユ姉さんって呼んでもいいぜ!」 「だからわたしは子供じゃありません!」 感心したと思ったらすぐにこれだ。根はいい人間なのだが理性とか躊躇とか遠慮とかの障壁を総スルーである。 「フユ姉さんって呼んでくれねぇのか?」 しかも都合の悪い話を聞いてない。 「呼ばれたいんですか?」 「ナツがあんま呼んでくれねぇんだよ。バカ姉とかエロ姉とかばっかだ。お前ならライのこと兄さんって呼んでんだろ。なら丁度いい」
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