誇れ、雷鳥

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「チフユさんは、ずっとミナツさんの中に居たんですよね?」 「そうだけど?」 「なら、ライ兄さんとの旅の話は出来ますね?」 「出来るけど、めんどく―」 「お願いします、フユ姉さん」 「おし、任せろ」 簡単に釣れた。 全ての話を聞き終えた頃には既に夕暮れになっていた。 チフユは疲れたと言って引っ込んでいた。今はミナツである。 「トメに関してはわたしにもよく分からん。一緒に居たと言ってもライは単独行動が多かったからな」 「セリスさんも多かったって言ってませんでした?」 何だ、この全く協調性のない旅は。それで上手くいっているのだから恐れ入る。 「ライが『自由人』だからな。今回も裏で何か動いてるみたいだし」 「へぇー、今回も」 ………………… 「え?」 「どうかしたか?」 首を捻るミナツにイリカは大声を上げた。 「兄さん、また何かやらかしてるんですか!?ミナツさんは何でそれを!?」 「いや、聞いたから。それに、あいつが今までのほほんと何も考えずにジッとしてたことがあったか?」
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