誇れ、雷鳥

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言われて見れば無かった。それに嘘は言っていない。 「ミナツさん、有り難うございました」 「ん」 ミナツは再び目を閉じた。中でチフユとの続きをするらしい。 イリカは中に入った二人にもう一度お礼を言ってその場を去った。 裏で動いているというライに会いに。 * 「潜入してもらってる」 既に帰っていたライにイリカが問い詰めると拍子抜けする程あっさりと暴露した。 「潜入、ですか?」 「お相手さんはとりあえず頭数を集めてるからな。身元もよく分からねぇ奴隷集団に一人紛れ込んだところで分かりゃしねぇよ」 「もしかしてフロウさんがすぐ居なくなったのは……?」 ライはニカッと笑った。 「フロウ程潜入に向いてる人間は居ないからな。見た目変えれるしいざとなったら逃げれる」 それは納得である。だが、腑に落ちない。 「でも、何でわざわざそんなことを?」 「ま、『保険』って奴だ」
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