誇れ、雷鳥

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こんなこと言っても仕方ないとイリカは分かっている。自分の力の足りなさが招いた結果なのだから。 ストレスと重圧が貯まって吐き出てしまった言葉。こんな八つ当たりを受けてライはどんな顔をしているのか。 イリカは怒られること覚悟で恐る恐るライの顔を見た。 「よしよし」 「え?ちょっ……!」 しかしイリカの予想に反してライは頭を撫でた。 「てめぇはガキのくせに気負いすぎなんだよ」 「ガキじゃありません!」 「ガキだよ。でも、ガキの何が悪い?」 更になで回すライ。 「ガキだからこそ出来ることもある。無理して大人になろうとしなくていい。お前はお前だ」 「…………」 「大体お前は随分出来が良いんだぜ?もっと誇れ。オレがお前くらいの年齢ん時はもっとバカやってたんだからな」 「ライ兄さんが?」 「おう、14の頃だろ?…………軍人に感化されて速い匍匐前進の練習してたな。三日で止めたけど」 「馬鹿です!」 勿論、嘘はない。
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