誇れ、雷鳥

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* 快晴。風は僅かに。ハニバルによるイセン攻略戦はそんな天気だった。 「挑発は無し、か。やはり敵を見て戦術を変えておるな」 バルト将軍がやられた様な露骨なものはない。迎撃ではなくうって出る気なのかもしれない。 ハニバルは兵に奇襲を警戒し、ゆっくりと行軍するように伝える。 「ニーナちゃん。いつ交戦してもおかしくない。出撃準備は万全かや?」 「誰にもの言ってんのよ」 ライフルを持ったニーナが鼻で笑った。今回は超長距離狙撃では無いので『クリティカルクリア』ではない純正のライフル。 「標的さえ出てこればいつでも仕留めてみせる」 「結構」 ハニバルはよっこいせと言いながら腰を下ろした。 「ニーナちゃん。少し聞きたいことがあるんじゃがいいかの?」 「……何?」 「儂の友は、シモン・ヘイホーは、どんな顔で死んでおった?」 予想外の質問にニーナは多少驚いたが、望むままに答えた。 「不思議と、安らかな死に顔だった。本当に殺されたのか分かんないくらい」
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