誇れ、雷鳥

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どこか遠い目でハニバルは空を見る。ニーナは言葉を返せない。 「しかし、安らかに死んでおったと言うのであればやはりあれは本心だったのじゃろうな」 「…………」 「儂も死ねば、あやつの気持ちが少しでも分かるじゃろうか」 「何指揮官がとぼけたこと言ってんの」 座ったハニバルの頭をニーナはペチンと叩いた。 「貴方が死んだらこの戦いは負けよ。無茶苦茶な指揮したらわたしがその脳味噌撃ち抜くからね」 「味方に撃たれるのだけは勘弁じゃの。安心せい、ただの年寄りの戯言じゃ」 ハニバルは苦笑いをした。 「勝つも負けるも、この戦いが儂の生涯最期の指揮になる。腑抜けた結末にはしたくないからの」 そう言ったところでハニバルに通信が入った。 『老将!敵軍がこの先で待ち構えている模様です!』 「『武神』と『金色』は?」 『確認出来ません。『鉄槌童子』の姿は確認しました』 「了解した、すぐに向かう」 短い通信が切れ、火蓋は切って落とされた。
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