誇れ、雷鳥

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* 「半分は膠着、半分は押し気味か……」 ニーナは狙撃のポイントで全体の戦況を見ていた。 ニーナの目にもミナツ、チフユ、ライ、それに『血染めの金色』は確認出来ない。 町の中に籠っている。狙撃が警戒されているのだろうか。 軍人でもない人間が狙撃を回避するには姿を見せないことが定石である。 しかし、負けてしまっては意味がない。味方が押し込まれてくれば必ずや姿を見せる筈。 居るかどうかも分からない狙撃手を気にして動かないことなど出来ないのだから。 だからこそニーナは戦いが始まってから一度たりとも引き金を引いていない。 ブラウゼルは無理にしてもその気になればセリスの脳髄をぶちまけることは容易く出来た。 全ては獲物をたった一度の機会で撃ち殺す為。 ニーナの身体が体感的に冷えていく。心を殺し、辺りと同化する。 こうなったニーナは最早機械。アルバが見抜いたニーナの本質。ガンジャンキー。
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