誇れ、雷鳥

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「ほぅ?随分と高くあの童を買っておるな」 「オレは学がねぇからな。オレが分からねぇこと知ってる奴は大体好きだ」 「……それだとほぼ全員好いとることにならんか?」 「おう。オレは人間が好きらしいからな」 バカにされたことに気が付いているのかいないのかチフユは笑う。 「獣も好きだぜ。あいつらは素直だからな」 「それは言えとるな。獣は嘘はつかん」 『狗族』であるマリアはチフユの話に乗る。だから、油断していた。 「嘘つかねぇから好きだってわけじゃねぇぜ。それだとライとかお前とか嫌いだってことになっちまうからな」 何気無しに放たれた一言に、マリアの息がほんの一瞬止まった。 「儂が、嘘をついておると?」 「まぁ、大したことじゃねぇだろうけど。無理にはきかねぇよ。あんま興味ねぇし」 腕を頭の後ろに回しながらチフユは欠伸をした。マリアはチフユの記憶を覗けない。チフユが何を知ったか見ることは出来ない。
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