誇れ、雷鳥

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「参考までに聞きたいのじゃが、何故で分かった?」 「オレは学がねぇってもよ、獣の知識ならそれなりに自信があんだよ。アホ鳥から色々聞いたからな」 「それがどうかしたかや?」 「『狐仙人』。お前が身体に宿しているって言った妖怪だな」 「正確には『因子』じゃがな」 細かい指摘にチフユは少し面倒くさそうな顔をした。 「まぁ、何でもいいよ。で、そのアホ鳥から狐仙人の話も聞いたんだよ」 狐仙人。異性を誘惑し精気を吸い取る妖怪。世界でも割りと有名な魔獣。 しかし、チフユはそれを否定する。 「世界に、『狐仙人』なんていう魔獣は存在しないってな」 「…………」 「あれは昔の人間の創作だ。そもそも魔獣は人間ありきの生態なんてしてねぇよ」 「……やれやれ、まだそれを知っとる奴がおるとは、儂としては迂闊やったな」 マリアは認めるように溜め息をついた。ニシシと嬉しそうにチフユは笑う。
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